明治通り一直線(承前)

 歌ドキで石川さんが内田有紀さんの「Only You」をカバー。いやー長生きはするもんですね。「Only You」は世界のTKセンセイワークスの中でも5本指に入るくらい好きな曲なのでとても楽しく聞かせていただきました。改めて思うけどカバーに大切な自分だけの世界を持ってますね、彼女。リクエストしてくれた渋谷区のちい兄ちゃんさんありがとうございました。
 さて、前項からの続き。
 …果たしてポリリズムで気持ち悪いヲタ声やヲタ芸はあるのかという興味に応える為、本日は Perfume の「ポリリズム」発売記念ミニライブを見に池袋に行ってまいりました。といっても別の用事があって偶発的に出くわしただけなんですけどね。全部で4曲

1. チョコレイト・ディスコ
2. コンピューターシティ
3. エレクトロ・ワールド
4. ポリリズム

を披露。当初の疑問に対する答えとしては否といってよいと思う。確かにごく一部、ヲタ芸、フリコピをやる残念な方もいらっしゃいましたが、あくまでごくほんの一部で椅子に座っていた「熱心な」方々も控えめで、拍手だけでもキチンとしたイベントになるもんだなぁと勉強になりました。盛り上げてやんないと演者にも悪いというロジックは黄門様の印籠じゃなかった。
 capsule 経由で Perfume さんのことを知って2年近くになりますが、初めての現場で別の意味で勉強になりました。


 彼女たち口パクなんですね。


 初めに断っておくと別に「口パク」が分かったから怒るという事は全くないです。自分の中でPerfume さんの印象は「機械的、無機質」なユニットなんですね。これは彼女たちの声にエフェクトがかかってて人間味を感じさせない上に歌詞が「キミとボク」というユニセックスな世界観が多いということもあり、とにかく体温、匂いといった身体性が剥奪されてるユニットのように思える。極端な話 CD 音源の歌は本当に彼女たちの声なのかという疑いも持ってたこともあります。
 ただそれが嫌かというと全然そうでもなくて寧ろその徹底ぶりが好きだったりする。プロデューサーの中田ヤスタカさんは capsule の方でも sound furniture という分かるような分からないような概念で音楽を作る方であるんで、彼の中で「音楽は家具だ」と同じように「声は楽器だ」みたいな確信があってコトを進めてるのかなぁと勝手に思ってます。
 それがライブというある意味身体性というか人間性が顕わになる場所でどういうことになるのかなぁと興味は常々持ってたんですが、でどうなのかというと歌は口パクという身体性の剥奪、フリとMCで人間性の回復という物凄く面白い形のライブでした。彼女たちのライブを楽しむには、そういうギャップを楽しむことが作法としてあるんだろうなぁと思います。
 ただライブで歌うってのは身体性の発露であって欲しいというのが、個人的な思い入れなので「口パク」によって彼女たちの身体性が一部剥奪されたような形のライブは物凄く居心地が悪い。確かにあーちゃんが登場時にあまりの大観衆に感極まったのを見て彼女たちも頑張ってきたんだよなぁという思いはライブならではなんですが、自分が Perfume を楽しむのに不可欠な要素だとは思えなかった。そんなわけで彼女たちの CD はこれからも買うだろうし、PV も楽しむと思うけどライブにはちょっと行かないだろうなぁ…というのが本日現場を見ての思いです。
 とここまで書いたところで、「口パク」という前提が間違っていて実は生声でマイクを通して CD 音源と同じようなエフェクトがかけられるボイスチェンジャーのようなものがあるのだったら、それは僕の完全な不勉強です。もしそういうことがあればご教示くださいませ。その時は喜んでコンサート会場に出没すると思います。