隣の芝生は何色か?3

 クイックジャパンPerfume 特集」よりいろんな所をつまみ食い。一応ネタばれ注意。

クイック・ジャパン74 (Vol.74)

クイック・ジャパン74 (Vol.74)

○セルフプロデュース

*−この頃にはライブでテルミンボコーダーなどの楽器演奏に挑戦してます。こういうライブでの変わった企画はスタッフさんに言われてやるんですか?


あ〜ちゃん 最初の頃はスタッフさんに「こういうのやったらどう?」って言われてやってたんですけど、最近はすべて自分たちで考えています。ライブでのタイトルもそうです。七夕だし「彼氏募集中」って曲があるから「ひこぼし☆募集中」にしよう、とか。


かしゆか メドレーをやるとか、ライブのイメージで曲を集めるのも自分たちでやります。歌う曲順も自分たちでやります。Perfume ってすごく自由なんですよ。むしろもうちょっと言われた方がいいんじゃないかと不安になるんですけど。


Perfume 本誌独占10000字インタビューより

 むぅ、自分が石川梨華さんにやって欲しいことが全てやられている。隣の芝生は青かった、すごく羨ましいィ。以前から無駄を承知で石川さん「反抗」しねえかなぁ、と言ってるんですが、せいぜい頭をボンバヘッにするとかカチューシャを増やすぐらいですから。面白いんだけどもどかしい。
 もしかしたらそういうのは求められてないのかああぁ、とバカの孤独な叫びのように感じてたんですが全くそういうことではなかった。Perfume にやれるんだから、石川さんにもやれる、という失礼なことは申しません。ただ経験、能力は持ち合わせてると思うので後は意志なんじゃないかと思っているのは確か。美勇伝というユニットを主体的にコントロールする姿をやっぱり見てみたい。
 でも環境的な部分もあるんで、次では環境的な部分、つまり周りの人々は何を考えてるのかを見てみましょう。

○プロデューサーな人々

 仕様の変更はこういう時楽だ。

中田 彼女たちがアイドルであろうとなかろうと僕はいつも通りきちんと曲作りしているだけ。でも他のアイドルの場合は、作曲家が頑張らない場合が多いんじゃないかな。なぜかというと、本気で作っても得することがなくて、例えば「カッコよすぎるから」って理由でダメ出しされることがよくあるんですよ。


*−アイドルを作る側の人たちのイメージが既に凝り固まっているわけですね。


中田 そうそう「アイドルってこんなもん」っていう風に。


中田ヤスタカインタビューより

 どこも同じなのね。上の方は。

*−売り出し方について、中田さんが何か指示することはありますか?


中田 僕は何も言わないです。(中略)そんな感じで、曲作り以外ではほとんど関わってないんですよ。最初は衣装やPVにもアイデアを求められたけど、全てを任せてもらえるわけじゃないから、そこまではやらないし。もしすべてのプロデュースを頼まれていたら、今の Perfume にはならなかっただろうと思いますね。(以下略)


中田ヤスタカインタビューより

*−そういうチャレンジをなぜ Perfume では出来たんでしょうか?


中田 彼女たちは誰がコントロールしているかがわからないユニットなんですよ。誰かがコントロールしたがってるとは思うけど、僕は音楽の部分では誰にもコントロールされないし、他の部分には手を出さない。そういう役割分担がはっきりしているのがいいと思う。本当はアイドルって、衣装やしゃべり方がこういう風じゃないといけないという決まり事がありますよね?でも僕は天の邪鬼だから、そのルールに反することをするし、それが許される状況に偶然なったんです。


中田ヤスタカインタビューより

 うむ、これは意外だった。ハローと違って、中田さんは創造主の位置にはなく音楽方面で好き勝手やってる職人さんということか。ということは、楽曲、PV、そしてパフォーマーと裏方が好き勝手に動いてる結果が今の状況なわけですね。昨日の「踊る大捜査線」を思い出した。上手くいってるうちは良いけど誰かが零れ落ちるとすぐに崩壊する奇跡的なパワーバランス。でもそれぞれが「良いものを作ろう」「面白いことをやろう」という意思でやってるんでホントは奇跡的でも何でもないのかもしれない。
 ハローの方は表面上おっさんのトータルプロデュースで Perfume の作りとは真逆。優劣はありません。リーダーが優秀であればすごいものが出来るし、そうやって生き長らえてきた事実は否めない。ただおっさんも人間ですので、ここまで裾野が広がった以上手が回らない部分も出てくるし、おっさんの感性が上手くマッチしない状況も発生しています。ただ代わってくれる人材がない。特にマネージメントの部分で人が足りてない、頭が回ってないのは如実に感じます。音楽ガッタスはその最たる例。美勇伝も似たようなものでしょうか。

○プロデューサーな人々2

 プロデューサーという中田さんがそういう人で、それぞれの役割が「等価」である以上、それぞれをどう見ているのか。

*−サウンド面で Perfume の三人に歌唱指導なりは厳しくするんですか?


中田 今はほぼないですね。初めのころはいわゆるティーンアイドルっぽい歌い方をしていて。そういう風に習ってきたんだろうし、その方がアイドル的には正しいのかもしれないけど、僕がやるには面白くないと思って、普通に歌ってもらうことを意識してもらった。最近の曲調やバックトラックの変化は本人たちの意識が変わったことに気づいて、僕がそれに合わせたところはあります。(略)


中田ヤスタカインタビューより

*−Perfume の曲でも昔のものは興味がないんですかね。


のっち そう。「ジューシーフレグランス」という曲があって、中田さんがちょっと間違ってデータを消しちゃって発表できなくなっちゃったんですけど、あとで「もう一回やりたいです」って言ったら、「もう昔の曲だから嫌だ」って。


かしゆか たぶん覚えてないんだと思います(笑)


のっち 忘れちゃうんだと思います。


あ〜ちゃん こないだ「Perfume の曲どんな曲あったか覚えてますか」って聞いたんです。そしたら「お、覚えてるよ。……チョコレイト・ディスコ」とか「エレクトロ……ワールドだっけ?」とか言って(笑)


のっち 全然覚えてない(笑)。過去にはとらわれない人なんだと思います。


かしゆか でもそれだからいいんじゃないですかね。中田さんの音楽自体もどんどん変化してってるので。


Perfume 本誌独占10000字インタビューより

 今後の展開ですけど、今までは彼女たち自身からこうしたいっていうのが出てこなかったので、これから積極的にこういうのがやりたいって出てきた時に、それを汲み取っていい形にもっていきたいというのがありますね。もし Perfume に今までにないアイドル像を感じるのであれば、僕らはカッコいい/カッコ悪いなら当然カッコいい方を選ぶし、そこで可愛いを選ばなくてもいいだろうって意識があるからかもしれないですね。そういうアイドルはもう一杯いますから、そっちはそっちに任せて(笑)。


アートディレクター関和亮インタビューより

 好き勝手やってるけど押さえてるところは押さえてる。既存の「アイドル」という概念に囚われず自分の感性で「面白い」と思えることをやってる。いやー自分がハローでやって欲しいと夢見てたことを全部やられてしまいました。自分が Perfume をアイドルとして見てたならホイホイ移籍して行っただろうなぁ。

○ファンについて

 んで向こうの方はまだまだ面白いことをやってくれそうだけど、こちら(ファンの)側は… Perfume にアイドルの側面がある以上、ハローの轍を踏む部分は多分にあるんじゃないかと思ってます。まずは古くから応援し続けてきた層と新しく入ってきた層の争い。ライブにおけるヲタ芸派と非ヲタ芸派の争い。そして楽曲派とアイドル派の争いと枚挙に暇がない。流石に黄金厨や推しメン争いなぞはないと思うんですが、人間3人いれば派閥が出来ると言われてるので何らかの軋轢はあるでしょうね。すでに起こってるのかもしれない。
 まぁ大いに余計なお世話なんですけど、 Perfume はこういうもんだ、という自分自身の固定概念に囚われると足下をすくわれますよとは言いたい。ハローも10年の間いろんな固定概念に縛られていろんな形で足下をすくわれて来ました。ファンもそして彼女たち自身も。そんなことが無ければ良いなぁと思ってます。
 ハローは未だにそれの繰り返し。卑近な例だと℃-ute は「時間」を表すユニットだから、新曲は彼女たちらしくない、という論理。何じゃそりゃ?「らしさ」ってなんなんでしょうね。