ひとりあそびIII

 ブロードキャスターの「お父さんのためのワイドショー講座」でモーニング娘。OGの共通点ができちゃった結婚と紹介されてました。内容云々より市井ちゃんが23であることに今更ながら驚きました。自分の中では18歳のあたりで時計が止まっちゃってるからなぁ。時の流れを昨日とは違った意味で実感しました。
 さて。
 自分はハロプロ関連のPVは一応全部目を通しておりまして(一応他のアーティストも可能な限りは)、その名の通り買う気がプロモーションされるか実践しております。そんなわけで本日公開された「女に 幸あれ」のPVを拝見しました。


 …ひどいね。


 ザ☆ピ〜ス!と色っぽい じれったいを2で割って2, 3ヶ月置いて腐らせたといえば適当でしょうか。℃の「めぐる恋の季節」も酷評したけどそれに勝るとも劣らないくらいの出来。スタジオライブでもこれよりまともなのが撮れるんじゃないかなぁ。ここ2, 3作が良かっただけに凄く残念。「買う」ってところまで行かなかった。
 全体のダンスシーンに固執しすぎてカメラ引き過ぎという僕の一番嫌いなシーンが大半なのに物凄く萎えた。ダンスショットバージョンなの?カメラアングルも申し訳程度の数パターンしかないし、おまけに衣装もワンパターンだから変わり映えが全くしない。これだけで監督が誰かはほぼ分かっちゃったんですが、何で正面ばかりに固執するのかなぁアノ人。ローアングルとか上空からとか何で考えないんだろう…結局は亀井ちゃんとリンリンが可愛かったという拾いどころしかありませんでした。
 とまぁPVが酷かったせいで楽曲に関しては良くもないけど悪くはなかったというか印象が何とも薄い。ベリちゃんの「なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?」を少し歌謡曲チックにした感じで、夏に歌わせる意図は分からなくもないけど、中途半端にオケヒットを使うくらいならも少しトランスっぽい所に突き抜けても良かったんじゃないかと思います。
 しかし。
 現在の僕としては娘。に関しては完全に対岸の人なので評判が良ければそれはそれで良いし「ウンチョスと言うお前がウンチョス」という感じで構わない。ここから先は最近のハロプロのPVは出る度に低予算って言われますけどホントに金がないのかなぁという所を考えたいと思います。

2. PV制作はどれくらい金を食うのか?

 前回の考察で日本のPVの相場が2〜300万、多くて500万ぐらいということを書きましたが、今回はそれを叩き台に今のハロプロにそれだけのお金を出す体力がないのか考えてみましょう。具体的に言うと一枚のシングルを作るときにPVにかけられるお金はどれくらい?ってことですね。
 手元に資料がないので今回もネットで調べてみました。資料として

○ CDアルバムの主な支出・内訳(売上見込み10万枚=3億円の場合)


・レコード販売店の取り分=25% 7500万円
・マスターテープ10曲の制作費=5% 1500万円(1曲当たり100万〜150万円)
・CDジャケット制作費・デザイン料=0.5% 150万円
・CDプレス・セットアップなど製造費=6.7% 2000万円(プレス代700万、セットアップ費300万、通常ジャケット印刷費1000万)
・宣伝費=15% 4500万円 (売上見込みの15%前後が普通らしい。PV、テレビCM、雑誌広告、屋外ボード)
・作詞・作曲家・音楽出版社に支払う印税=6% 1800万円
歌唱印税=1% 300万円(アーティスト事務所に支払われる。新人だと1%程度。実績により上がる)
・残りの40%程度が純利益
注. 原盤権をレコード会社が所有してない場合は、原盤印税を10%〜15%支払うことになる


日経エンタテインメント2003年2月号「儲けのカラクリ」まとめ(レイアウト改変)

を使います。アルバムとシングルで違いがあったり、4年ほどのタイムラグがあるんですがどうも新しいのがなかったので、この際無視して話を進めます。注目したいのはPV の制作は宣伝費に含まれるということ。仮に税抜き 1000円のシングルを5万枚売り続けるとすると宣伝費は 15%ということですから売り上げ 5000万の 15%で 750万は宣伝費として使えそうということになります。
 勿論宣伝にはCMや看板制作などなどがあり、PV に全額割くわけには行かないしその割合も分からないんですが仮に3分の1としても 250万円。前回の相場を考えると額としては充分ですよね。おまけにハロプロにはシングルVといってPVを商品として売っちゃうというユニークな商法が存在しています。シングルVにかかる支出を乱暴に

・レコード販売店の取り分=25%
・ジャケット制作費・デザイン料=0.5%
・DVDプレス・セットアップなど製造費=6.7%

と考えます。PVの制作費そのものはシングルの宣伝費から出ているのでゼロ、(こちらの)予想外の支出を差っ引いても 50%は純利益なると思われます。仮に税抜き 1500円のシングルVを 1万5000枚売ったとすると、売り上げが 2250万円。純利益は 1125万円となります。このように考えるとシングル5万枚、シングルV 1万5000枚のユニットだと立派なPVができて他の宣伝費にも少しは回せそうな計算が成り立ちます。
 これがシングル 1万枚のユニットだと PVを含めた宣伝費が 150万とかなり苦しいんですが、シングルVを 4000枚売りますと 300万ほど上乗せすることができます。そう考えるとシングルVの売り上げに対する考え方としては「プラスアルファ」もしくは「赤字分の補填」と両義的な考え方ができそうです。
 にもかかわらず低予算な雰囲気が漂うのは


1.事務所が制作費をギリギリに絞って、浮いた分を懐に収めている。もしくはメンバーの給料になっている。
2.事務所が制作費をぎりぎりに絞って、浮いた分を他の赤字部門に回している。
3.事務所は相場程度のお金を出しているが、制作チームが限りなく無能である。


…どれもありそうだけど、事務所の経営戦略も分からないままの邪推なのでこの辺で思考停止します。あ、あと一つ


4.相場が予想以上に高くて実はギリギリである。


というのもありそうですけどユニットの基盤が脆弱でもPV自体はできてますからこれはちょっと考えにくいかも。あるとすれば監督や制作会社による値段の違いかもしれない。
 次回はその辺りを「邪推」したいと思います。