矢島作戦

 タイトルと内容はほとんど関係ござんせん。いやチョットは関係ある。
 台風が近づいていて雨が時折パラつく嫌な天気でしたが、先日の予告どおりヱヴァゲリヲン新劇場版を見に行ってまいりました。というわけでネタばれします、ご注意を。興味の無い方は今すぐ回れ右をして「寝る子はキュート」を観たほうが良いと思います。興味がある方も是非回れ右して見ましょう。
 宣伝終わり。
 や〜面白かったです。どうせ総集編みたいなもんだろ、という意地悪な気持ちはある意味当たってるんですけど、旧作との微妙なズレが随所に見られ次作で大きく逸脱していくんだろうなという期待感がそれを上回った。第三新東京市の狂気じみたディティールには開いた口が塞がらなかったし、ラピュタの飛行石じみたラミちゃんの変容っぷりには泣きそうになった。無機物が有機物に見えた瞬間、生命の誕生。
 ただ人類の敵「使徒」の「5W1H」には何ら応えてませんし、テンポも早いのでクライマックスのヤシマ作戦におけるカタルシスはあっても初めて見た方にはモヤモヤ感が残るかもしれません。そういう方は今から旧作を借りてから行くか、1年我慢して来年全部見てしまうか、「寝る子はキュート」を見て大人しく寝る方が良いかもしれない。℃-ute メジャーデビュー1周年おめでとう。
 で。
 面白かったのは確かなんですけど、やっぱ年とったなぁ俺、というのが第一の感想。どっちかというとミサトさんの立場で見てました。いや性別は違いますし、サービスもできないんですが、碇シンジ君にかなりイラッと来ましたw 12年前は自分もシンジ君のほうに年齢が近くて、彼の自己実現というか自己承認というか他人の承認で居場所を確認するというメンタリティに共感もあったのですが、年を経るとクソガキの捨て鉢というかカマってよオーラの方に反応。ミサトさんも一苦労なのはよく分かる。
 ただ同時に同種の思いを患ってきただけに無碍にも突き放せない。ミサトさんがシンジ君に手を挙げそうになって、グッとこらえて後で壁を叩くシーンや、ヤシマ作戦の前に「どうして僕じゃなきゃ駄目なんですか」というシンジ君の疑問にわざわざ時間を割いて最高機密を見せ「地球に生きるもの全ての運命をシンジ君に託す」という説得を試みたシーンは手法はともかく凄く共感できた。旧作でもそういうシーンはあったけど今回の方がシンジ君とミサトさんの心の交流をより綿密というか丁寧に描いている気がします。この辺からも脱線していきそうな匂いがプンプン。
 とまぁ今回はミサトさん世代の一員としてシンジ君の「ビルドゥングスロマン」として観たのですが、それを差し引いてもシンジ君が前回より逞しかったのが印象的でした。ふてぶてしいんじゃなくて中に強い芯が通ってる感じ。相変わらず「仕方なく戦っている」し、親父ゲンドウさんに「褒めてもらいたい」のも同じで、ゲンさんがシンジ君のそんな希望を満たそうとせずフラストレーションを募らせるのも同じなんですけど、叱られた時の口答えや、トウジに殴られた後の目つき、そしてミサトさんに「エヴァに乗るのが怖いんです」という至極もっともな愚痴を吐露する場面が違っていて、以前のシンジに比べて骨っぽいしカッコよく見える。
 少年の成長物語という観点から見ると、テレビ版は最後にそれを放棄し、EOE は壮絶に拒絶しています。ならば今回は色々あったけど「エヴァをキチンと降りて日常へ還るシンジ君」という王道的な終わり方でも良いなぁと思っているんですけどそうはならないだろうなぁ。良い意味で期待を裏切ってくれることを願います願います。
 個人的にはアスカさんは兎も角、加持さんの役割が少し変わるかもしれないと思ってます。また今回は抑圧者、傍観者としての側面が強かったリツコさん、おとっつぁん、そして冬月先生の所謂「ダメ大人」たちがどう関わっていくのかも期待している。水着といい、煙草といい…俺のリツコさんはひどく変わったよ。
 m9っ^▽^)
 ふと思ったんだけどそういえばハロプロに「自己実現」といった意味でのビルドゥングスロマンってないよなぁ。勿論ダンスや歌の進歩というのはあるんだけど、自己実現というか生き方としての進化、深化というのは中々見え難い。これは既にハロプロの一員となることが到達点となっていて変化の必要がないせいなのかもしれないし、単にこちら側に伝わってないだけかもしれない。アイドルにそういう「人間臭さ」はいらないということなのかもしれない。ソニンちゃんには結構見え隠れしているんですけどね。
 そんな中でハロプロ唯一といって良いほど「変化」を求めているのが伝わってくるのが松浦亜弥さんですけどセールスには結びついていない。人間としては正解なんですけど売る人間としては難しい立場だなぁ…と考えていたのですが、石川さんの「歌ドキッ」を観ていたら結構どうでも良くなってきました。 She will be there ただそこにいるだけでいいのかもしれない。