極楽鳥の夏(地獄編)

℃-ute は好きだが、℃-ute の現場は好きになれない


というのが最近 ℃-ute というユニットに抱いているアンビバレンツな感情である。メンバーは好きだが、メンバーを好きな連中が集まる場所は苦手だ。同属嫌悪というか自分の足を食うタコというか、どういう言葉が適切か分からないが、エンジョイできると同時に少なからぬストレスを感じている事は確か。
とにかくおかしな連中に遭遇する割合が高い。昨日昼公演で遭遇した寺島進を23回殴った顔をしたガンタンクは極め付きだった。ファミリー席にいるくせに開演前に「俺、踊るから。ぶつかったらごめんね」と両隣に無条件不条理宣言したあとはやりたい放題。メンバーのMC中に「ぐんまいまいぃ」と寝言はいうわ、ロミオでサイリウム振りまくって隣の人と一触即発状態になるわ、全日本迷惑コンテスト8月30日の部でベスト4に入るぐらいの敢闘ぶり。終演後の逃げ足の速さは決勝に残るだろう。
「坐ってさえいれば踊るのは禁止されていない」というロジックでやりたい放題の自分勝手さにため息の喝采を贈りたい。人間ってここまで頭が悪くなれるものなのだ。自分が愛してやまないユニットのコンサートで、他の人から心底死んでもらいたいとさえ思われる。寒気がするほどのシチュエーションだが、案外誰の身にも起こっていることかもしれない。
という事を書くと「そういうのは一部のヘンなやつだけで、多くの℃-ute ファンはいたって普通ですよ」と反論されるだろう。しかしその大半の「普通のファン」が集まって出来る雰囲気にも違和感を禁じえず、だから困っている。昨日で一番違和感を感じたのは「通学ベクトル」のBメロ。あの「あ〜いり!」コールは私的にはモーニングコーヒーの「なっち」「かおり」コールを超える史上最長。記録的ではあるけれど喜ぶ所では決してなかった。彼女の歌が聞こえなかったから。歌が聞こえなくなるほどの観客のコール、そんなものに存在価値はないし、歌を聴きに来た身からすれば、はっきり言って迷惑この上なかった。あの場で、大声でコールしている方々に問いたい。


「あなた方はどうしてメンバーの歌が聴こえなくなるくらいの大声で名前を呼ぶのですか?」と。


そのほか「最高級のエンジョイGirls」のタップダンスの場面でひたすらクラップする方々や、本編ではこれ以上ないほど暴れまわるくせにアンコールしない観客など、これまでに培ってきたコンサート現場における価値観からすると、「それ、違うんじゃないの?」と問い質したくなる様な出来事が多かった。
どんなに名演奏、歴史に残る歌唱でも観客がいなければコンサートとして成り立たない。コンサートにおいて観客は大事な要素だ。それならば、観客も少しでもマシな観客になるために考えなければならない事は多いし、考え続けることが大事なのだ。
多分。

「ちゃんと生きるってなんですか?」
「誰かを笑顔にできるってことだな。」


ダービージョッキー (20)