Give me up だらけ

本日の名古屋を以ってエルダークラブの新春コンサートが千秋楽を迎えました。当初の予定では最後だし行こうかなと思ってたんですが、何をトチ狂ったか明日のワンダフルハーツの方を申し込んでました。良く分からない事態ですが、今となっては一回のコンサートより一時間の睡眠が欲しかったのでまぁ良いかと。元々一回のコンサートでオッケーな人なのでさほどのダメージもなかったりする。
でワンダコン。
ワンダフルハーツ発足以来、面白いコンサートにはほとんど出くわしてないので内容についてはほとんど期待していない。えりかさんは今年もきれいだなぁ、のあたり。もりあがってりゃいいだろ的な発想がファミリー席には実に優しくないんですね。エルダーの方も発想は同じで季節感を無視した選曲には今年も何だかなぁと思ったのは事実なんですが、それでも面白いと感じたのは、聞かせ方だったり、歴史的な積み重ねだったり、好きな曲だったりしたからでしょうか。メロン記念日の「Give me up」はファミリー席でビックリしたのと嬉しかったのでちびりそうになった。
ただその感想を述べるだけですと個人的には面白くないので、わが国におけるこの曲のカバーの変遷を辿ってみたいと思います。以前まとめようとしてそのまま忘れてたことは内緒です。前フリ長すぎ。

0. 原曲

0-1. Give me up / Michael Fortunati (1986)


ユーロビートもしくはハイエナジーの古典と呼ばれる曲で当時のディスコでは大流行だったらしいですが、当時のぼくは田舎の小学生だったので体験したわけではありません。ただ上の動画は来日時のヤツなので日本ではそれなりのものがあったことが伺えます。事実日本では雨後の筍というか「ジンギスカン」にも勝るとも劣らないくらいカバーが制作されます。
曲自体はアゲアゲですが、歌詞は恋に疲れた男の心情がつづられていて、ウェットな仕上がりになっております。

Now I'm leading your life on my own on these days
(今日から僕は新しい人生をやり直すんだ)
And I don't to mess with no woman
(もう恋に振り回されはしない)
Get me out on your skin No, that's hard.
(だから僕を自由にしてくれ)
I can see but you're back to save your love, but you can't
(君は何も回りが見えなくなっているのさ。荷物をまとめて新しい恋を探すんだ)
Give me up…
(僕を自由にしておくれ…)

1. カバー其の壱(英語編)

1-1. Give me up 2000 / Michael Fortunati (2000)

リミックスもかなり多いのですが、そこはスルーしてカバーの方に絞ります。
二匹目の泥鰌なのか何なのかは分からんけど自身でセルフカバーしてます。

1-2. Give me up 2006 / Milly (2006)

2000、2006と年をつけてカウントアップしています。何年まで続くのでしょうか。さっきiTunes Store を覗いてみたら 2009 のリミックスは出てた。

1-3. Give me up / Crypto Room (2007)

出生が出生なので、ハウスとかトランスあたりの要素が強いのは仕方がないのかも。

1-4. Give me up / 安良城紅 (2005)


英語のカバーではこれが白眉だと思う。上の動画は以前 TDK の CM でフィーチャーされた時のヤツですが、原曲のノリを活かしながらスピード感溢れる清清しい仕上がりになっております。
歌詞も微妙に違うんだよな。斜体が上の部分と違う箇所ですが「カバンを持って云々」ってこっちの方が正解じゃないのか?

Now I lead a new life on my own here today
And I don't want to mess with no woman
Get me out of your skin, love is all that gets in
Pack your bags, save your love, what you can.
Give me up …

2. カバー其の弐(日本語編)

1980年代は洋楽の日本語カバーが盛んな時代でもあったようでして、そっちからの流れで結構な日本語カバーが出ております。

2-1. Give me up / 長山洋子 (1987)


実力派演歌歌手のアイドル歌手時代のカバー。「Venus」というこれも洋楽カバーのアルバムの中の1曲のようです。ほぼリズム隊だけで作られてますが、原曲の雰囲気には忠実な感じ。
歌詞の日本語は結構大胆な解釈になってます。前と同じ部分を抽出すると、

愛は罪なことじゃないわ
だけどマジなだけでは
つまらないわ you're so baby baby
感じないわ、ゴメンね

歌はさすがに上手い。今の彼女ってこの時代のことをどう思ってるんだろう。

2-2. Give me up / 成田マサル (1987)


うぉっ、なにこの杉山清貴&オメガトライブな感じ(超適当)。カッチョいいけどどこかバブリーな感じは、さすがマハラジャの社長。

早くアドレスを閉めろよ
うちに送ってやるよ今夜は
ママもきっと心配してる
もうすぐ夜も明けそう

歌詞も自己陶酔っぽくて結構キテます。オッサンには出せない雰囲気ですね。

3. カバー其の参(アイドル歌謡編)

3-1. Give me up / Babe (1987)

というわけで、1986年に発表されたオリジナルは日本に来てそれなりの変遷を経てついに、アイドル御用達の名カバーを生み出します。それが Babe デビュー曲の Give me up。

曲もこれまでのフロア重視のリズム隊からシンセを前面に出したポップな仕上がりになってますが、何といっても森雪之丞さんによる歌詞の大胆な変更でしょう。

キミが強くなくちゃワタシ
キュートな娘になれないでしょ?
「意気地なし」を直さないと
ハート蹴飛ばしちゃうぞ
Give me up…

恋に疲れたヘタレ男はどこへやら、寧ろそういう男どもを蹴飛ばすおにゃのこが主人公になってます。それでもこの男子が好きなのが垣間見えて絶妙なブレンドに仕上がっております。「わたしフレンド恋人どっち?」なんて可愛すぎて死にそうだ。
以後この曲はこの歌詞で延々とカバーが繰り返されます。これから先はどっちかつーと曲の解釈の方に主眼が置かれてるのかもしれない。

3-2. Give me up / W (2004)


Babe のデュオとしての良さを忠実に引き継いで「若さ」を加えた良カバー。「オリジナル」より打ち込み重視の仕上がりになってます。アレンジのLaugh & Peace さんによる遊び心も垣間見えてかなり好きだったりする。コンサートで聴いてみたかった1曲です。いや逸曲か…

3-3. Give Me Up / ニコモノ (2005)


nicola」の人気モデルを集めて作られたユニット「ニコモノ」。どっかで見た顔だなと思ってたら、キャナァーリ倶楽部の「みっきー」こと丹羽未来帆さんではないですか。知らなかったのでビックリした。そっちの世界ではかなり凄い人みたいですね。
曲自体はまぁやるだろうなというトランス色たっぷり路線。でもキュートな感じはあまりしない。

3-4. Give Me Up / Mi (2006)


彼女達が何でこれをカバーしたのか意図は良く分からないんですけど、バンドサウンドというか、ロックな面を押し出そうとしたのは面白いと思う。ただちょっとどっちつかずで中途半端な感じ。打ち込みより生ドラム、生ギター徹底の方がいいものができる気がするんだけど。

3-5. Give Me Up / 秋山莉奈, 木口亜矢 (2008)

これは動画見つからなくて iTunes Store で試聴したんですけど何だかすげぇな。Babe, W を中庸、分岐点と考えると、ニコモノサウンド路線をさらに萌え方向に振り切ってしまった感じ。面白い解釈だとは思うけど、デキの悪いアニソンを聴いている様でどうにもこうにも。

3-6. GIVE ME UP / メロン記念日 (2008)


今までのとは一線を画す「癒し」を感じるのはストリングスが入っているせいなのか。まぁ W と違って全員20代半ばですから解釈も違って当然だと思う。サビがメンバーの輪唱になっているのも2人が4人に増えたということなのかもしれない。
それにしても毎年のように何か出てるなぁ。

4. 番外編

4-1. 御利益 / 米米クラブ (2007)


サビの部分がカバーというかインスパイア。サンプリングというのかもしれない。