シンク ユー ベリー ベリー?(感想編)

続きといっても大したことは書いていない。ネタばれはします。
先日レポというものは観た事がない人向けに書くものと述べましたが、その定義に従えば舞台の観劇レポというのは、読んだ人が頭の中でイメージを喚起できるかという点でヒジョーに難しいです。ぼくの力量では。あらすじを書くのがせめてもの、というところでしょうか。
というわけでレポというよりは感想文。

◆全体

全体としてはすごく良く出来てるお芝居でした。話の進め方が論理的というかカッチリしていて伏線の張り方、人物の動かし方も多彩で面白かったです。6月の ℃-uteゲキハロがあまりにもつまらなく、自分にとってゲキハロはもう限界かなと感じてたところだったので、面白いと思えるのが嬉しかったです。
以下もう少し具体的に。大きく分けて「ストーリー」の合唱部分と「テーマ」の感謝について。

◆ストーリー

Berryz工房の7人を2つに分け、2つのグループを出入りする役、グループを離脱する役を加味した立体的な役割の付与が凄く面白かったです。先の ℃-uteゲキハロは6人が6人「同じ側」の役割だったのを不満点として挙げた所だったのでここはツボでした。ただせっかくライバル関係を作り上げてそれぞれ負けられない事情を付与したんだからラストシーンはもう少しガチンコがあってもよかったかなと個人的には思った。
また役割から考えると物語の展開を容易に予想できる(例:「恩あだ姉ちゃん」のバイト眞佳(嗣永)ちゃんが実は弁天女子で「あのこうた」決勝では弁天女子で出場する)ので、どう料理するのかなぁと思ってましたが、眞佳が弁天に入る前に、葉子(須藤)ちゃんが加わったのはオッと思った。最初弁天女子にいたエッグの子は前作の仙石ちゃんのごとく最後まで引っ張るかなと思ってたので、ラストの合唱は純 Berryz で締めるという話の持って行き方はなるほどと思った。そりゃそうだ「Thank you very berry」なんだから。
合唱という素材選びもチャレンジングで良かった。ユニゾン全盛という最近のハローの風潮に個人的には物足りなさを大いに感じていた所だったのでハモリやコーラスの技術をさらにみがく事ができたのは今後にも役立ちそうで期待できそうです。
惜しむらくは7人それぞれが持っている「歌う理由」というのが1人だけ分からなかった事でしょうか。眞佳ちゃんのことね。丸富3人娘は顧問の先生に熱心に誘われたから、学子(菅谷)ちゃんは歌、合唱が大好き、葉子ちゃんは友情からの人助けとそれぞれ歌う理由が明確になってるんですけど(転校した果菜は除く)、眞佳だけは良く分かんなかった。単にぼくが感じ取れなかっただけという可能性もあるので、分かんないという言い方はフェアじゃないんだけど、あまりにも悟ったような事を言うので「合唱したい!」という情熱が他の子と比べて感じられなかったのは確かです。もしかしたらそういう役回りかもしれないですけど。

◆テーマ

クライマックスの「あのこうた」決勝ではライバル関係を超えて全員で学子が作った歌を歌って大団円を迎えるのですがここでは「感謝」というのがキーワードとなります。
丸富3人娘は顧問の先生、学子は兄貴と果菜、果菜は学子とそれぞれ言えなかった「ありがとう」という気持ちを歌に載せてるのは歌詞にもあるし、割と素直に入ってきたんですが、「この子は誰にありがとうと言っているんだろう」と言うのが分かんなかったのが眞佳と葉子ちゃんでした。演技の問題じゃないよ。
眞佳ちゃんについては、日頃から「アイスが美味しい」とか「10円見つけた」といった色んなものに「感謝の念」を抱いている子だから歌で改めて表明しなくてもというのは何となく理解できました。
ただ葉子ちゃんについては劇中では友情から人助けをする役回りでどっちかつーと「感謝される方の立場」で理解してたので、あの場面でいきなり「感謝する」歌を歌ってもという所はあった。葉子ちゃんに「ありがとう」の歌を歌わせるんだったら、劇中でじじいとの関係をもう少し丁寧に描写したほうが良いように思いました。例えば何でじじいと2人暮らしなのか?とか。

◆そのほか

そのほかの考えどころについて。
◆◆ホットヨガ兄貴
寝る子は℃-ute」でもそうだったんですが、塩田さんの劇って大人が結構どうしようもないんですが、学子の兄貴兜太君もホントどうしようもない部類。や、どうしようもないのは別にいいんですが、どうしようもない中にもう少しオッと思うところがあっても良いように思いました。だって学子憧れの晴子先生が惚れた相手ですぜ。舞台を壊さない程度にちょっとはもう少しカッチョいい所があってもバチは当たらないと思ったのですが…


◆◆おでん喫茶はなぜ潰れないのか?
「恩あだ姉ちゃん」というフラッグばりばりの名前で物語に深くかかわるおでん喫茶ですが、客は丸富3人娘のみでしかも商品のおでんは買わないという体たらく。それなのに眞佳に出せるバイト代はあって、東スポも20円増しで買えるんですからどうやって利益を出しているのか不思議でしょうがなかったです。おでん喫茶のマスターは世を忍ぶ仮の姿というか悠々自適のセミリタイアなのか、大金持ちの御曹司で食うに困らない身分なのか…何者なんだマスター?
考えた中でナイスだったのは実は神崎家のバカヒロさんで神崎家から出資してもらっているという設定だったのですが、パンフレットを見て名前がちゃんとついていたのでちょっとガッカリしたのでした。