アウェー大作戦(さんかく編)

先日観に行った「さんかく」の感想でも。

倦怠期の同棲カップルのもとに彼女の中学生の妹が転がり込んでざわめく、三角関係未満の微妙で過激な恋模様。
(ものすごく大雑把なあらすじ)

さんかくといっても三角関係というよりは○でも×でもない△な人たちという意味合いに取れました。


高岡蒼甫君演じる百瀬は外面はイケメンなのに中身がとことん薄っぺらい。自意識過剰で勘違いした揚句、中学生相手に度を越してしまう駄目さ加減が身につまされます。けど根っからの悪人ではない。
田畑智子さん演じる佳代も百瀬の事が好きでしょうがないのに、その表現方法がウザかったりイタかったりで、やればやるほどドツボ。一生懸命なのにどこか空回りで、アイドルでイタいのは芸風だけど現実生活だとアイタタタと胸に突き刺さるものを感じました。
そして小野恵令奈さん演じた佳代の妹・桃も悪意の無い小悪魔っぷりや意図しない天然エロを撒き散らしては一人の(ダメ)大人を籠絡しますが、現実生活の方では憧れてた先輩にストーカー紛いのことをやってみたり、すべてを「コドモだもん」の一言で片づけてしまう小狡さも持っている。


まぁそういった○でも×でもない人々が織りなす人間模様という感じで、それなりに事件は起きるけれどジェットコースタームービーという感じではないので、ドラマチックな展開が好きな人には合わないかもしれない。
それだけにむしろ個々人の演技に目が行くわけで、高岡君の三枚目キャラは凄く似合ってたし、田畑さんのイタさは巧かった。
そのなかでもやはり小野ちゃんの役はハマり役だったように思います。ちょっと舌足らずの発声と童顔は15歳の幼さを表すには充分でしたし、それでいて大の大人を惑わせる肉体的な魅力も兼ね備えていて、あのアンバランスさを出せる子は彼女、それも現在の彼女以外にいないように思いました。話によると監督が当て書きで書いたそうですが、まさに慧眼、まさにド変態のなせる業ですね、あの役は。


で。
この『さんかく』の出演を機に、小野恵令奈さんは女優を目指してAKBを卒業するそうです。代々木で初めて彼女を見たとき女優さん向きの子だなというインスピレーションは当たらずとも遠からずだったわけですが、この映画を見た後は今後どういう女優さんになるのかという楽しみが自分の中でより確かなものになったような気がします。
うん、面白かった。