東京導夢(後編)

つづき。
と言っても出来事通りに振り返るのはもう難しいので、印象に残ったことを簡単に。

◆客層

東京ドームのキャパと言えば、かつてのウサちゃんチームが十年一日のごとくルーティンに発表していた5万5千人なわけですが、そのくらい行ってたんじゃないかな。どこかのエリアを閉鎖して見せかけだけでも満員状態を作るような、なんちゃって東京ドーム公演ではけしてなかった。
握手会で釣れば CD の枚数は伸びるんでしょうが、コンサートの動員数はそうは行かない。かつては握手会をやってた Perfume が、そこから脱却してドームを満員にするようなところまで上ってきたのは、ジャパニーズドリームと言っても良いのではないかと。当人たちはそれほど変わってないので不思議なものです。
とまぁインディーズ時代、メジャーデビューからポリリズム以前、ポリリズム以後と多種多様なファンを獲得してきたせいか、老若男女、ヲタからギャルまで、カップルから親子連れ、コスプレからヤスタカまでカオスな感じでとても興味深かった。ハローもこういう感じの時代もあったなと懐かしさも感じました。
ぼく自身は「じゃがいも」エリアの通路席だったのですが、前のカップルがフリコピ厨で踊り狂っていたのがすごく印象的だった。アホですが、同じアホなら踊らにゃ損損。

◆セットリスト

MC ではメンバーが考えたと言っていましたが、5万人のファン層を意識した最大公約数的な楽曲群になっていたかと。良く言えばベストアルバム、悪く言えば総花的。「ポリリズム」以後の楽曲が多めで、10年という歴史を総括した感じではなかったかもしれない。
個人的には「Twinkle Snow Powdery Snow」が大好きなので、それがなかったのは結構残念でして、今の季節なら「チョコレイト・ディスコ」よりこっちだよなぁと思ったのですが、「エレクトロ・ワールド」の「ジャジャッジャー」というベース音を広いところで聴けたのでまぁ良いか。Lovefool でフル来るー?と一瞬高まったのもいい思い出にはなった。


で。
上の方で Perfume はその時々で色々なファンを獲得してきたと書きましたが、その時々で曲へのノリ方が違うのも印象的でした。インディーズの「ジェニーはご機嫌ななめ」などは PPPH は控えめなものの、合いの手の入れ方がモロにアイドル現場だし、ポリリズム以後の楽曲たちは手拍子かせいぜい腕突き上げ、「Perfume」「エレクトロ・ワールド」や「チョコレイト・ディスコ」はその中間といった感じで面白かった。「Wonder 2」はせっかくメンバーが振ってくれているんだから、も少し客席が歌って盛り上げても良かったのではないかと思ったけど。そのあたりの「コミュニケーション」はやや希薄かなと感じました。
個人的には「Perfume」でメンバーが乗り物に乗ってサイン入りボールを乱射しながら場内を練り歩いてた(?)んですが、あ〜ちゃんの乗った車の帰りがなぜか異様に遅くて「ぱっぱっぱっぱっぱっぱっぱふゅーむ!」のフリを只管2分ばかり(体感時間)繰り返して、しかもラストと言っているのにラストとならない ザ☆ピ〜ス状態で右手がバカになりました。はい。

◆11にむけて

ドーム公演を成功させて、キャリアとして一つのピークを迎えた彼女たち。日本の女性グループでドーム公演をやったのってあとは Speed ぐらいしか思いつきませんから、歴史的存在になったと言える。
それだけに今後の彼女たちがどうなっていくのかというのは興味があります。このまま拡大路線を続けていけるのかというビジネスとしてもそうですが、東京ドームという一つの「夢」に到達した後の彼女たちが今後どういう「夢」を描いて活動していくのかというところ。これだけ大きくなれば、大人の事情も絡んでくるでしょうし、好き勝手言えないしがらみもいっぱい出てくるのでしょうが、そうした「枠」の中で彼女たちが何を思って何を伝えていきたいのかは、定点観測ながら注目していたいと思っています。
まずは「コンサート」と「ライブ」の折り合いをどうつけていくかという点かな。最近「コンサート」と「ライブ」の違いについて考えることが多いもので。