真紅の女海賊 めーぐる(80)〜終わりの始まり 第1話〜

(これまでのあらすじ)
 dat落ちしていて読めませんでした。嘘です。
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 管理人が忙しくて暫くテキストを書けないといっているので、暫く前に載せていた小言を無理やり終わらせるためにキマシタ。by 主人公


 …12月に入り、学校の銀杏も黄化が進んで明日にも落葉しそうだ。関東地方の冬は九州と比べ刺すような寒さだが、その分空気は乾燥し澄み切った感じがする。黄色い銀杏が冷たい青空に映え何となく居住まいを正す気分、ギンナンの悪臭を除けばね。何で雄株と雌株を一緒に植えたのだろう、ウチの学校。お年寄りはなぜあんなに沢山落ちたギンナンを拾うのだろう。
……
 この1ヶ月は色々あった。14年間の短い人生で偉そうな事を言うのもなんだが、自分の人生が確実に変わったような気がする。それが良いことなのかそれほどでもない事だったのかはもう少し経たないと分からないだろうけど兎に角自分を取り巻く世界は変わった。大変だったけど自分がいかに他の人に支えられているか実感したし自分もそういう人間になりたいとも思った。そんな貴重な一ヶ月をなるべく覚えておきたくて今回書いておくことにする。


 11月1日
 全てはこの日から始まった。その後のことが強烈だったので何となく曖昧だが、父さんが美勇伝のジャケットで珍しく怒っていたのを覚えている。かつてというか今でも心のどこかでは応援しているそうで何か不憫に思えて仕方がないとの事。そんなものかと思いながらどこか対岸の火事のような気分でいた。
 「『℃-ute 村上 愛』について皆様へ大事なお知らせ」を見たときもどこかそんな気分で字面は理解できるのだが意味がわかんないという感じで、そこにモノはあるのに実は夢の中で手を伸ばしても実際にものをつかめないようなじれったいようないらだたしいような変な感覚だった。
 フワフワ浮いていたような気分が地に下りてきてようやく具体的な感情が芽生えてきたのは「もう二度と見る事は出来ないんだな」という思いに至った時で胸に開いた穴を自覚したのもその時だった。なんでこんなに寂しいんだろう?俺はえりかさんのことが好きなのに…。頭の中が「?」だらけでいろんな思いが浮かんでは消えていく。外面はいつものように動いているのだが矢張りどこかヘンだったらしく、後で父さんが苦笑交じりにあの時は挙動不審でどうしようかと結構心配したと言っていた。
 その日は中々眠れなかった。人間ってこういう時にお酒が必要なんだな。


 11月2日
 人間どんな哀しいことがあってもおなかが空く様に出来ているようで、昨日の事も14歳の僕の身体を壊し、食欲の一切をなくすまでは至らなかったようでそのことを若干疎ましく思いながら朝ごはんはきちんと食べた。父さんたちは何となくホッとしているようだった。
 だが、良いニュースは一人でやってくるけど悪いニュースは決して一人では来ない。昨日のニュースも僕にとってはあくまでも前哨戦に過ぎなかったことを嫌でも思い知らされた。

 (続く)